【胸糞】映画『子宮に沈める』ネタバレ・感想|どんな感情で見ていいのかわからなくなる作品


今回は2013年公開の「子宮に沈める」という映画についての感想を話していきます。いつもなら考察もするところではありますが、この映画には考察もクソもないんでね…。
いや、あるとは思いますよ?でもこの作品は考えるな、感じろ。感じてから考えろ系(?)の映画だと思います。まあ考察は皆さん別の場所で楽しんでいただいて。
この記事を読んでいただくと
- 「子宮に沈める」がどんな作品か
- 特にどんな人にオススメか
- 映画素人大学生の感想
が分かるようになっているのでぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
観たことがある方は、コメントに感想など書いていってくださいね。
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作品情報
公開日 | 2013/11/9 |
上映時間 | 95分 |
ジャンル | ドラマ |
監督・脚本 | 緒方貴臣 |
基になった事件 | 大阪二児餓死事件 |
マヨネーズをチューブで飲んでいる女の子の様子が印象的で有名な作品。
「子宮に沈める」は、2010年に起こった大阪二児餓死事件を基に作られたフィクションの映画です。
母親を子宮に沈める社会 ――大阪二児遺棄事件をもう一度考えるために/映画『子宮に沈める』 緒方貴臣×角間惇一郎 – SYNODOS
こちらでは監督がこの映画を作ったきっかけやタイトルの意味などを語っています。作品を鑑賞する上でかなり参考になる記事だと思うので、一度読んでみてくださいね!
一応基となった事件はあるのですが、あくまでフィクションなんです。どこまでが本当に起こったことでどこからがフィクションなのかはっきりとわからないからこそ、恐いですよね…。
あらすじ・特にオススメな人

由希子(伊藤恵美子)は娘の幸(土屋希乃)と息子の蒼空(土屋瑛輝)と夫の四人家族であった。由希子は子供たちと幸せな時間を過ごしているように見えるが、夫はめったに家に帰って来ず、気持のすれ違いから別れてしまう。
苦労しながらもなんとかやっていた由希子、幸、蒼空の3人での生活であったが、ある日、由希子は友人から夜の商売を勧められる。夜の商売を始めた由希子は、服装が派手になっていき、恋人を家に連れ込むようになり、徐々に子供たちとの生活が廃れていく。
そしてついに由希子は大量のチャーハンを残し、家を出てしまう。リビングや窓をガムテープで開かないようにしたまま…。
- 胸糞悪い映画が気になる人
- 虐待、育児放棄などの問題をテーマとした作品に触れたい人
- 基となった事件を客観視したい人
- 育児にかかわるべき全ての人
感想

干渉できない視点
この作品は基本的にカメラが一点に置かれていて、しばらくの間視点が動かないようになっています。
家庭内の様子を映していても、子供以外の大人の顔がはっきり見えなかったり、全体を引きで映すことがほとんどありません。
このとらえ方を、先ほど紹介した緒方貴臣監督のインタビューでは、「感情移入できない様に、客観的に、覗き見しているような印象を与えるように映画を撮った」と語っています。
確かに客観的に映画を見ることができたのですが、この作中と完全に切り離された立場から見ているため、より胸糞悪く感じたように思います。
生活が困難でも、子供たちが危なっかしい動きをしていても私たちは手を差し伸べることはできません。もちろん映画なので当然のことではあるんですが、この特徴的なとらえ方がそれを強調していると思いました。
物語に一切干渉できない印象を感じる視点で作品を観させることで、観客の心を掴み、心を動かすような作品になっていると感じました。
話は変わりますが、映像の話でいうと、場面の転換の間も独特でしたね。ブツっと切れて真っ暗になり、次のシーンという感じで。日常の切り抜き感を演出しているのでしょうか。
ドキュメンタリーのようにも見えます。違うんですけどね。でも、ドキュメンタリーっぽく見えるということは、ある種の現実味が出ているようにも思いました。
そして、その場面の転換の間に、どれくらいの時間が経っているかがほとんどわからないんですよね。はっきりしないことが多い分、不穏な空気感や、見ていて苦しくなっていく感じを増長させていました。
段階を踏んで胸を締め付けてくる展開
もともと、映画を観る前から予告編は観たことがあったので、虐待や育児放棄などをテーマにしていることは理解していました。でも、実際にもあった事件につながるようなことがどのように始まって行ったかはわからないじゃないですか。
フィクションなので脚色や完全にオリジナルな展開の可能性もありますが、事件に至るまでの部分がこの作品ではしっかり描かれているんです。飛ばし飛ばしではありますが。
はじめは、3人の幸せそうな様子がすごく印象的なんです。母親の由希子は手の込んだ料理を作ったり、子供のリクエストに答えてオムライスを作ったりするのが本当に素敵。ピクニックを楽しみにしててるてる坊主を作る幸も可愛いし、蒼空はまだ手がかかる年齢だけど大切に育てられていたのが分かります。
このすごく幸せそうな部分を見ているため、由希子と夫のやり取りのシーンを見るとクッソオオオ!ってなるんですよね。
育児にも家の事にも全く関わらない父親。監督も言っていたように、母親が子宮に沈められている感覚がここでわかると思います。
もし由希子が一人で抱え込んでいなければ…。そう考えずにはいられない作品序盤です。
はじめに挙げた、幸せを感じられるシーンから、いろんなことが起こって最悪のラストまで段階を踏んでいきます。
だれにも止められないんです。家という閉鎖された空間の中で何が起こっていても。ただただ胸糞悪くなっていく展開です。
私は、幸せそうなシーンからあの酷いラストまでの展開を観て、誰にでも起こりうるということを表したいのではないかと思いました。
きっと由希子が結婚してすぐや、子供を産んですぐはもっと幸せだったんだと思います。それが、悪いことが重なって、子供を殺してしまうまでに至りました。
誰かが助けることはできなかったんだろうか。どこかでとどまることができなかったんだろうか。ということを考えてしまいますが、きっと作中の由希子もラストでは同じようなことを考えていると思います。とんでもないことをしてしまったという様子は伺えますし。
私にとっては、今何気なく過ごしていても、何か一つの間違いから歯車が狂っていき、最悪な結果になる可能性があると考えさせられる作品でした。
そのため、この作品を他者視点だけでなく自分の視点にも変えて観ることができると思いました。そうなると、どんな人にもこの作品は観る価値があるんじゃないかなと思います。
この映画の必要性についてはまた後で。
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救いようのない胸糞
この作品の魅力であり、重要な点であり、最悪な、そう、胸糞。
本当に救いようがありません。ここからかなり書きなぐっていきますが、決して映画の批判をしたいわけではありません。必要な描写ですからね。でもあまりにも観ていて苦しかった、思い出してここに書くのですらキツイくらいなので、全部ぶちまけます。
まず由希子の夫よ。
元凶ですね。子供2人を母親1人に任せて何をしているんでしょうか。もちろん仕事も大事ですよ。でも別れは一方的だし、その後の責任も一切取ってないよう(していたかもしれないけど最低限)に見えるし。
家族4人のシーンは初めから最後までないし、父親と子供2人のシーンもない、出て行ってからの様子も一切描かれない、もう本当にモヤモヤする。
どんどん行きます。続いて、由紀子の高校時代の友達。
子供が寝てるのに大声で喋るんじゃねえええ!あとタバコ吸うな!!!
子供可愛いー、絶対いいお母さんになれると思う、じゃねーよ!寝てる間に大きい声で話されて、受動喫煙受けて、子供に悪影響です。やめてください。
次、由紀子の彼氏。
子供たちいるのにセッ○スすな!あなたたちが致してるの、幸は見てたんだよ?
幸が蒼空に、母親とその彼氏がしていることを真似して遊んでる様子が作中にあるんですが、本当に見てられませんでしたよ…。
幼い子に見せていいもんじゃないでしょ…。
由紀子。
辛いことも大変なこともあったと思う。でも絶対にしてはいけないことをしてしまった。
でも、あの映画を初めから最後まで見てしまっているから、私は無責任に由紀子を責めることができません。
だけどやってることは最低ですよ!本当に複雑な気持ちにさせられる。言葉が出ないくらい胸糞悪いし、モヤモヤする。
この気持ちはどこへぶつけていいのやら…。
見出しに救いようがないというふうに書きましたが、唯一(二?)の救いは蒼空くんのシ体が明らかに人形とわかったのと、実際に由紀子が子供を手にかけるシーンはハッキリと映されなかったことくらいですかね。
再現するのが流石に子役では難しいという事情なのかもしれませんが、もう十分というくらい胸糞悪いシーンは見せていただいたので結構です。むしろありがたい。
さて、大人たちへのイライラをぶつけたところで、子供たちの話をしましょうか。映画として、子役としての話になります。
あの2人すごいですね。よくあんな映画出てくれましたよね…笑
特に幸役の土屋希乃ちゃん、数年前までNHKでクックルンやってたみたいですね!まぁかわいいお姉さんになって…☺️
ちなみに、監督からの反応がこちら。
あんなに幼いときにクソみたいな(褒めてる)映画出て、よく順調に育ってくれましたよね。とっても美人さんなのでこれからも活躍してほしいですね!
希乃ちゃんの実の弟で蒼空役の土屋瑛輝くんも、ちゃんとお芝居しててすごいですよね。1歳で、あれだけスポット当たる役をよく演じててシンプルに関心しちゃいました。
2人とも、汚いシーンも本人たちが理解してないであろうシーンも、よく頑張ってます。それだけに、見ててすごく苦しい作品でした。
演技指導もすごいなぁーっていうシンプルな感想です。
この映画は作らなければならなかった作品なのか?
観た人の中で最も争点になる点が、この映画の必要性だと思います。
内容も救いがないし、ただただ胸糞悪いだけのエンディングで後味悪いですしね。そういうのが苦手な方にとっては好きになれない作品かもしれません。
個人的には、この手の後味が悪い作品は割と見る価値があるものだと思っていて、楽しんで、という言葉ではおかしいですが新たな視点を手に入れるような気持ちで作品を見ています。
上にたびたび出している監督のインタビューですが、私は作品を見終わった後にこのインタビューを読みました。これを読むまではただ胸糞悪くてどんな感情を持っていいか分からずモヤモヤしていました。
ですが、インタビューを読んで、監督の「子宮に沈める」の制作意図を知ってから考えがはっきりとまとまりました。
基となった「大阪二児餓死事件」は、私も知っている事件でした。リアルタイムで報道を見た記憶はないに等しい(当時7歳?)のですが、この事件から着想を得た漫画を読んだことがあり、事件について調べたことがありました。
子供を放置するなんてあり得ないと思いましたし、母親が責められるのは当たり前のことだと思っていました。
しかし、監督は母親ばかりがバッシングされていることに疑問を持ったことがきっかけで作品を作ったということを話しています。
確かに、報道というものは伝え方に偏りが出てしまったり、事件ともなると罪を犯した人に矛先が向かうのもわかります。そこに疑問を持ったのでしょうね。
そこで、この映画「子宮に沈める」で完全な悪役を作らず、独特な視点で撮られているから特定の誰かを責めたり味方することのない作品に仕上げたように思えます。
確かに、誰かに感情移入できるような撮り方をしていないし、私自身、母親というものについて考えるきっかけになったと思います。無意識的に、私も女性を“子宮に沈め”ていたことに気づきました。その点で言うとこの映画が作られた意味はあると思います。
ただ、エンターテインメントとして見る作品ではないですね。映画に面白さを期待して見ている人は苦手な作品に感じるかもしれません。
やはり、この作品が作られた背景や事件のことについて軽く知っておかないと、ただの胸糞映画ですし、この独特な撮られ方にも引き込まれないかもしれません。
良くも悪くも評価の分かれる作品になっていますね!
でも私個人の意見では、たくさんの人に観てもらいたい作品だと思っています。子供が母親を育てるもの、という認識が当たり前になり過ぎてしまっている今、自分が当事者か、身近な第三者になる可能性があることも認識し、考えさせられる作品だと思います。
まとめ

今回は、「子宮に沈める」という映画について、感想を話していきました!
私は胸糞悪かったり、後味が悪かったりする作品は結構好んで見ているのですが、中でもベスト3くらいには入ってくるレベルの作品でしたね。もう1回くらいは観たいけど、もうそれだけでいいかな…。
ここまで来て不満というか、ちょっとした勿体無さを感じたことを漏らすと、監督の制作意図が伝わりづらい!!
記事の中でたびたびあげている監督のインタビュー記事ですが、これがないと伝わらない部分が割と多いんですよ。映画しか観ていない人に違った解釈をされてしまってもしょうがないかなって。
もしこの記事を読んで「子宮に沈める」という映画が気になった!という方は是非見てみてくださいね。
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