【宗教と関わる家族】今村夏子『星の子』紹介・あらすじ・感想ー誰を信じ、何を信じるのかー


今回は今村夏子さんの『星の子』という小説を紹介します。
この記事を読んでいただくと、
- 『星の子』がどんな作品か
- どんな魅力があるか
- どんな人に特にオススメか
などがネタバレなしで分かるようになっていますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです!
既に読んだことがある方はぜひコメントに感想や考察など書いていってくださいね♪
あ、ちなみに冒頭で言った仏教信仰のやつはガチ信仰ではないです。輪廻転生とかあったらいいなーとか思ってます😜
作品情報・特にオススメな人
作品名 | 星の子 |
著者 | 今村夏子 |
ジャンル | 長編小説 |
出版元 | 朝日新聞出版 |
ページ数 | P.224 |
受賞 | 第39回野間文芸新人賞 |
こちらの作品は、2019年に芦田愛菜さん主演で実写映画化されています。
アマプラで配信されているので気が向いたらぜひ観てみてくださいね。
登録済みの方はこちら→星の子
映画のほうはかなり原作に忠実に作られていますが、小説とは違った魅力もたくさんあるのでオススメです✨
- 宗教に関わる物語が読みたい人
- 純文学が好きな人
- 人を、何かを信じることについて考えたい人
こちらの作品は、何か大きな出来事が起こったり、解決したりということがほとんどありません。そこが魅力にも感じるのですが、もしかしたらハッキリしない物語が苦手な方は合わないかもしれないので注意です!
あらすじ

生まれてすぐから体が弱かった林ちひろ。赤ちゃんの頃は、両親が自宅と病院の間を行き来する日々を送っていたという。
ある日、ちひろの父親はちひろの様子を職場の同僚に相談すると、「金星のめぐみ」という水を勧められる。
水を変えると、ちひろの体調はみるみる良くなっていったという。そこから、ちひろの家族は宗教と切り離せない関係になっていく。
ちひろは成長し、様々な人と出会い、恋愛や人間関係の悩み、家族や親戚を巻き込んだ事件などを経験していく。
信仰にお金をかけ、家族の生活はだんだんと貧しくなっていくが、ちひろは何を感じ、何を信じるのか。
魅力

子の視点から見た宗教
まず、この作品の最大の魅力と言っていいものが、宗教をテーマにしているということです。
最近は安倍元総理銃撃の事件から始まり話題になった、統一教会問題などもあり、宗教に注目が集まっていますね。
世界には、それぞれ理由があって宗教の信仰をしている人がたくさんいます。本作では、どのように信仰をするようになったか、どんな生活をしているかなどの宗教に関わった家族の1例を覗くことができます。
この作品を読む限りは、国内でそこそこ信者が多いカルト教団のような感じがします。はっきりと教団の名前は表されず、架空の教団のようです。
作中は「金星のめぐみ」によって救われたとされるちひろの視点で物語が展開していきます。ちひろは俗に言う宗教2世のような立場ですね。
物心ついたときには宗教がそばにあることが当たり前の生活だったちひろですが、成長するにつれて信者であることによって多くの壁や分かれ道に直面します。
何が本当で、何を信じるべきか迷いながら生きるちひろの中立に近い視点で、宗教の世界や人間関係を見ることができる作品になっています。
この作品を読んで何を考えるかは読者次第となる物語なので、今まで考えなかったことに想像力を働かせることができるのではないかと思います。
判断は読み手に任せられる
答えが1つに絞られないというのも、この作品の魅力だと思っています。
この作品は一貫して、「信じる」という言葉がキーワードになっています。
宗教だけでなく、噂話や周囲の人、見たものや聞いたことなどの様々な曖昧なものについてどう思うかを読者は考えさせられます。
考えさせられるのですが、作品の中に答えを発見することはできません。
真実がわからないため、それらの判断は読者に任せられるんですね。もしくは、何が本当かを決めてしまわないという判断をすることもできます。
読み手によって感想や意見の違いが生まれると思うのですが、それこそがこの作品が伝えたいメッセージなのではないでしょうか?
みなさんが何を真実とし、何を信じるのか。ぜひ実際に「星の子」を読んで考えてみてくださいね。
それぞれの考えを持つ登場人物たち
この作品では、ちひろとその他の周囲の人物たちとのやりとりが多く描かれています。両親や姉、教会で会う人々や学校の友達、先生など。
それほど長くない物語ですが、たくさんの登場人物がいるんです。
しかも、ちひろとの会話形式での登場が多いので、その人の性格がわかりやすいんですね。ちひろも少し変わった性格をしていますが、周りの人たちもキャラ強めの人たちが多いです。
たくさんいる登場人物の中でも、熱狂的に宗教を信じている人、親の影響で信じる2世、全く信じない人など様々です。
みんなそれぞれ違った考え方を持っていることがちひろ視点で読者もわかるようになっていて、面白いと思います。
私が好きなキャラクターは、なべちゃんことちひろの学校の友人、渡辺マキちゃん。
なぜか浮いてしまうちひろと一緒にいてあげる、これまた少し変わった美人な女の子。
読んでいても、芯がしっかりしてそうなのに何を考えているのかわからない感じが面白くて好きです。
あと、ちひろの教会でも学校でも会う友達の春ちゃんという子の彼氏も素敵です。
小説の後半から春ちゃんの彼氏は登場し、終盤ではとても重要な役を果たすのですが、そこでの発言がめちゃくちゃかっこいいです。
こういうことが言えたら、思えたら素敵だと思って少しウルッとしてしまいました。
たくさんの登場人物を見ることで、新たな視点が発見できるのではないでしょうか?気になる方はぜひ読んでみてくださいね!
まとめ
今回は今村夏子さんの『星の子』という小説を紹介しました。
「星の子」は、以前紹介した「むらさきのスカートの女」に続いて2作目の今村夏子さん作品でしたが、いいですね。今まで読んだことのない作家さんだったのですが、独特の世界観と、主人公の視点で物語が展開していくのが面白いです。
いかにも純文学!という感じの、ブツっと物語が終わってしまって余韻に浸れるような結末も、私にとってはかなり好きなポイントであります♡
もしこの記事を読んで少しでも興味を持っていただけたら、ぜひ小説『星の子』を手にとってみてくださいね♪

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